西新宿のミステリアスな地下道「新宿歩行者専用道」

西新宿を歩いていると無機質な地下通路へと迷い込む。何のために整備されどのような役割が期待されたのか昔から気になっていた。それに拍車をかける「ワンデーストリート」や「タイムズアベニュー」といったキーワード。理由があるのかわからないが妙に迂回や上下移動を強いられるルート、節々に現れる不可思議なオブジェやアート。実際に歩いてみると、便利というよりは果てしなく続くように感じられる空間に疲れや不気味ささえ感じる。公式情報によると目的は以下のとおり。

東京都庁の移転や新宿副都心の整備にあわせて、増加する歩行者交通に対応するための施設で、地下空間という他交通と分離された優位性を活かし、安全・安心・快適に回遊できる歩行空間として整備を開始しました。

新宿歩行者専用道路第2号線III期区間(1工区)完成パンフレットより抜粋
引用元:新宿歩行者専用道路第2号線III期区間(1工区)(PDF)

新宿歩行者専用道には第1号といった連番が付与され、その連番は第4号まであることがわかった。ここでは公式サイトの情報からそれぞれの地下歩道がどのようなものかを取り上げたい。なお、第1号線〜第3号線の位置・ルートについては上記の図を参照、第4号線については以下第4号線の項に掲載している図を参照。

新宿歩行者専用道第1号線(ワンデーストリート、シーズンロード)

都営新宿駅から東京都庁第二庁舎を結ぶ「ワンデーストリート」と、同駅から京王プラザホテル敷地を通り新宿副都心4号街路へ至る「シーズンロード」で構成されている。都営大江戸線のルート計画時の西新宿駅(現在の都庁前駅と西新宿駅の中間付近)との連絡通路の一部として建設されたが、計画変更により地下通路として転用された。供用開始は1991年(平成3年)3月。

東京都建設局公式ウェブサイトの情報
https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jimusho/sanken/hosyu_shisetsu_nishiguchi.html

新宿歩行者専用道第2号線(タイムズアベニュー)

東京都庁第一本庁舎(新宿副都心4号街路と新宿副都心11号街路の交差する付近)から青梅街道・東京メトロ丸ノ内線西新宿駅を経て、損保ジャパン本社ビル前の新都心歩道橋付近に至る地下歩道。今後は小田急ハルク前付近への延伸が計画されている。供用開始は1997年(平成9年)12月。

東京都建設局公式ウェブサイトの情報
https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jimusho/sanken/doro_shinzyuku2go.html

平成9年に撮影された、開通記念時の動画が新宿区公式ウェブサイトで公開されている。
https://www.city.shinjuku.lg.jp/video/video_arc202009.html

工事を担当したであろうゼネコンと設計事務所のウェブサイトには作品として「新宿歩行者専用道第2号線」が掲載されており、工事中・完成当時のいくつかの貴重な写真を鑑賞することができる。

鉄建建設ウェブサイト
完成作品:新宿歩行者専用道第2号線Ⅲ期-1工区整備工事
https://www.tekken.co.jp/works/000431.html

NT建築計画事務所
Features Works:新宿歩行者専用道第2号線 Times-Avenue
http://www.nt-arch.com/works/031/

新宿歩行者専用道第3号線

新都心歩道橋付近から大江戸線新宿西口駅に接近(接続するかは不明)しながら、大ガードを経由してサブナードへ至る地下歩道。計画はされているが開通がいつになるかは未定。

新宿歩行者専用道第4号線

新宿区の資料によると「新宿グランドターミナル」の再整備方針に伴い廃止され、「新宿駅北東部地下通路線」として西武新宿駅~新宿駅(JRと東京メトロ)を結ぶ地下通路となる予定。

引用元:新宿区 都市計画変更案について 2021年7月(PDF)

なお、似たような名前の新宿駅西口広場から新宿中央公園方面に向かって西新宿を東西に貫く「新宿副都心4号街路地下道」があるが、副都心4号街路の地下を通る地下道で「新宿歩行者専用道第4号線」とは別物である。

公式情報にムラがあり全貌も把握しにくいため、情報発信に工夫の余地があるのではないだろうか。また自治体のウェブサイトは詳細情報がPDF化されているケースが少なくはなく、Google検索では知りたい情報がページではなくPDFとして上位に表示されることは珍しくない。そのPDFには発行年月の記載がない、テキストのコピー&ペーストができない、ファイル名やプロパティ情報も適当な場合が多い。自治体のみなさまにはデジタル化著しい昨今を踏まえ、可能な限りのページ化、テキスト化、わかりやすいメタ情報管理の推進をぜひお願いしたい。

新宿区に関する情報を得られるウェブサイト

新宿区 公式ニュース

新宿区 公式サイト
https://www.city.shinjuku.lg.jp/

住民税
https://www.city.shinjuku.lg.jp/hoken/file04_03_00001.html

家庭から出る資源・ごみ
https://www.city.shinjuku.lg.jp/seikatsu/index09_01s.html

レガス新宿
https://www.regasu-shinjuku.or.jp/
公益財団法人新宿未来創造財団が運営するウェブサイト。愛称であるレガス新宿の「レガス」は、レ=歴史、ガ=学習、ス=スポーツの略。新宿区民をはじめ都民に対して、歴史、文化、芸術、スポーツなどの生涯学習の機会を提供し、自発的な参画と相互交流を深めることを目的としている。

とうきょうユニバーサルデザインナビ
https://www.fukushizaidan.jp/
公益財団法人 東京都福祉保健財団 が運営するウェブサイト。外出時に必要な情報を入手できるよう、都内の施設や交通機関等に関するユニバーサルデザインやバリアフリーの情報を発信するポータルサイト。新宿区内に関する情報も含まれている。

新宿ルーペ
https://shinjuku-loupe.info/
新宿区商店会連合会が運営するウェブサイト。加盟商店会のイベントやお店の情報を配信し、加盟商店会の各ウェブサイトへのリンクも設置されている。

観光情報

温故知しん!じゅく散歩
https://bunkakanko-annai.city.shinjuku.lg.jp/
新宿区文化観光産業部文化観光課が運営するウェブサイト。新宿区内の歴史、文化財、見どころ、博物館・美術館、散策コースを紹介している。

データ、地理

統計・調査・オープンデータ

https://www.city.shinjuku.lg.jp/kusei/index02.html

新宿区公式サイト内のページ。新宿区の人口、統計、オープンデータ、調査結果のレポートなどを閲覧可能。一部外部サイトへ移動して閲覧するデータもあり。

東京都の統計

https://www.toukei.metro.tokyo.lg.jp/

東京都総務局が運営するウェブサイト。東京都の人口、統計、調査結果のレポートなどを公開中。統計資料はキーワード、分野・カテゴリーから検索することが可能。

東京都オープンデータカタログサイト

https://portal.data.metro.tokyo.lg.jp/

東京都が運営するウェブサイト。東京都とその区市町村や都政に関するオープンデータをキーワード、分野・カテゴリーから検索することが可能。オープンデータの利活用事例やAPIに関する情報も掲載されている。

東京都 水防災総合情報システム

https://www.kasen-suibo.metro.tokyo.lg.jp/im/uryosuii/tsim0102g.html

東京都建設局が運営するウェブサイト。都内に設置した雨量計・水位計から、雨量・河川水位・潮位等の観測データをリアルタイムで自動収集、データ加工して地図上や表形式で表示するほか、河川の映像データも表示。

地理空間情報ライブラリー

https://geolib.gsi.go.jp/

国土交通省 国土地理院が運営するウェブサイト。地図、空中写真、図面などを検索しての閲覧、さらにダウンロードすることも可能。

e-Stat(イースタット)

https://www.e-stat.go.jp/

総務省 統計局が整備し独立行政法人統計センターが運用管理する政府統計のポータルサイト。各府省が公表する統計データを一つにまとめ、分野、組織から探したり、グラフ、時系列表、地図で表示させたりすることも可能。

新宿区 公式SNS

新宿区 公式ツイッター
https://twitter.com/shinjuku_info

新宿区 公式 Facebook
https://www.facebook.com/shinjuku.info

新宿区 公式 YouTube チャンネル
https://www.youtube.com/user/CityShinjuku

新宿区行政サービスかんたん案内
http://odp.jig.jp/adm-service_sjk/

アーカイブ

写真で見る新宿
https://www.regasu-shinjuku.or.jp/photodb/
新宿歴史博物館が所蔵する写真データベース。地域・年代だけではなく、テーマ(繁華街・花街、鉄道・駅、河川・上水、公園、施設、地域の行事等)やキーワードから目的の写真を検索することが可能。

メトロアーカイブアルバム
https://metroarchive.jp/
公益財団法人 メトロ文化財団 が運営するウェブサイト。これまでに収集された地下鉄(営団地下鉄および東京メトロ)に関する各種資料・写真を整理・保存しながら東京の地下鉄の歴史を紹介している。新宿区内に関する情報も含まれている。

その他

新宿新聞
http://www.shinjuku-shinbun.co.jp/
株式会社新宿区新聞社が運営する、再開発、選挙、進出/撤退企業など幅広い切り口で新宿を取り上げる新聞のウェブサイト。フェイクニュースではない事実と根拠を示すニュース報道を心がけることが特徴。

新宿経済新聞
https://shinjuku.keizai.biz/
みんなの経済新聞ネットワークが運営する、新宿エリアのニュースを発信するウェブサイト。食べる、見る・遊ぶ、買う、暮らす・働く、学ぶ・知る、といったカテゴリー別にお店、ビジネス、流行やトレンドを紹介している。

都営大江戸線のメリット・デメリット

「都営大江戸線はホームまでが深い」
「都営大江戸線は乗り換えが不便」

身の回りでこのような話をよく耳にするマゼンダ色の路線・都営大江戸線だが、JR山手線内においてほぼ大久保通りの真下を走り、新宿駅周辺の繁華街エリアと新宿区内の住宅地、そしてターミナル駅である飯田橋駅を結ぶ大動脈である。東京メトロ東西線、都営新宿線、東京メトロ丸ノ内線と併走しながら新宿区内を横断し、新宿区民にとっては欠かせない存在でもある。

ここでは都営大江戸線の強み・弱みや自分がどのように活用しているのかについて、山手線内の範囲を中心に紹介したい。

強み

1. 混雑や乗り換えを回避できる

東京都内の移動は都営地下鉄に比べてJRと東京メトロを使う人の方が多いかもしれないが、都営大江戸線を使えば目的地によってはJR線や東京メトロを使うよりも混雑とわずらわしい乗り換えを避けて移動できる場合がある。

以下、徒歩10分程度で歩ける距離の駅の例(乗り換え駅指定の駅は除く)

  • 都庁前駅:西新宿駅(東京メトロ丸ノ内線)
  • 新宿西口駅:大久保駅(JR)
  • 牛込神楽坂駅:神楽坂駅(東京メトロ東西線)
  • 上野御徒町駅:上野駅、湯島駅(JR、東京メトロ銀座線/日比谷線、京成、東京メトロ千代田線)
  • 汐留駅:新橋駅(JR、東京メトロ銀座線、都営浅草線、ゆりかもめ)
  • 大門駅:御成門駅、芝公園駅(都営三田線)
  • 赤羽橋駅:麻布十番駅(東京メトロ南北線)
  • 六本木駅、青山一丁目駅:乃木坂駅(東京メトロ千代田線)
  • 国立競技場駅:信濃町駅(JR)
  • 代々木駅:新宿駅、北参道駅(都営新宿線、東京メトロ副都心線)
  • 新御徒町駅:稲荷町駅(東京メトロ銀座線)
  • 蔵前駅:浅草駅(東京メトロ銀座線、都営浅草線)
  • 築地市場駅:築地駅(東京メトロ日比谷線)
  • 中井駅、東中野駅:落合駅(東京メトロ東西線)
  • 落合南長崎駅(西武池袋線)
  • 新江古田駅(西武池袋線)

都庁前駅は西新宿高層ビル街の中心に位置しており、もう1つの玄関駅である東京メトロ丸ノ内線の西新宿駅までは乗り換えることなく、地上または地下通路を経由して歩ける距離にある。

新宿西口駅は新宿駅と西武新宿駅との乗り換えに使う人は多いと考えられるが、少し足を伸ばせば混雑や乗り換えを避けて大久保駅の代替として活用することができる。

牛込神楽坂駅と神楽坂駅は至近距離にあるため、大江戸線を使って赤城神社など東西線の神楽坂駅周辺のエリアへ足を運ぶ際に便利である。

上野御徒町駅は上野駅と地下通路でつながっており地上でもどちらでも徒歩で辿り着ける範囲のため、大江戸線沿線から京成スカイライナーを使うような場合の最寄駅として使える。乗り換え駅でもなく地下通路での接続もないが、湯島駅も目と鼻の先のため別路線を経由して千代田線に乗り換えるのであればここで乗り換えてしまった方が時間の節約になる。ちなみに大江戸線は地下鉄路線では東京メトロ千代田線のみ唯一乗り換え駅がない。湯島駅を蔵前駅のように地上乗り換え駅にしないのが不思議だが、運営会社が別など大人の事情があるのかもしれない。

汐留駅はビル街をすり抜ければ新橋駅へ到達することができるため、大門経由で都営浅草線に乗り換える必要はない距離である。

大門駅は増上寺前を通っている日比谷通りまで出ればその下には都営三田線が通っており、北へ進めば御成門駅、南へ進めば芝公園駅へ到達する。都営大江戸線と都営三田線は地図上はこのあたりで線路が交差しているが乗り換え駅にはなっていない。

赤羽橋駅は首都高と古川沿いに西へ進めば10分も経たないうちに麻布十番駅前の交差点である。もし赤羽橋駅付近から南北線を使って移動したい、またはその逆で南北線沿線から乗り換えなしで東京タワーなど赤羽橋駅へ移動したい場合は活用できる。

六本木駅と青山一丁目駅はちょうど中間地点に、それぞれの駅から10分もかからない距離に千代田線の乃木坂駅がある。青山一丁目から乃木坂駅に向かうためにわざわざ隣の表参道駅で乗り換える必要はないと考える人は多いのではないだろうか。六本木駅から乃木坂駅も地下鉄で移動しようとすると、日比谷線で霞ヶ関駅まで移動して千代田線に乗り換える必要があるため、やはり六本木駅で降りて歩いてしまったほうが早い。青山一丁目駅と六本木駅はホームが地下深くにあるため、地上に出るのが他の駅に比べて容易ではないのが唯一の難点である。

国立競技場駅はほぼ千駄ヶ谷駅前といっていい場所ではあるが、千駄ヶ谷駅と反対側の出口を出て神宮外苑の中を歩けば信濃町はそう遠くはない。

代々木駅は実際に車内でもその近さを実感することができるが、都営地下鉄の新宿駅とは目と鼻の先と言ってもいいほど近い。代々木駅から新宿駅まで移動するのであれば、JRや大江戸線を使わなくても歩いてしまった方が早いケースも多いのではないだろうか。

2. 都内の斜め移動が早い

新宿から上野方面への移動には真っ先に東京メトロ(丸ノ内線+銀座線)やJR山手線での移動が思い浮かぶが、目的地によっては都営大江戸線の方が所用時間が短い場合がある。

たとえば新宿駅(新宿西口駅)〜上野駅(上野御徒町駅)の場合では通常、東京メトロ(丸ノ内線+銀座線)では約36分、JR山手線では25分だが、都営大江戸線では18分程度である。新宿駅〜六本木駅の場合でも通常、JR山手線+東京メトロ日比谷線では23分程度だが、都営大江戸線では9分程度である。

新宿駅では新宿駅と新宿西口駅が分かれており慣れるまでわかりにくい・使いにくいが、うまく使いこなせば新宿から東北・東南方面への移動が楽になる。

3. その他

  1. 他社路線と相互直通運転をしていないため、人身事故などによる遅延の影響を受けにくい
  2. 他都営線すべてとの乗り継ぎが可能
    • 新宿線(新宿駅、森下駅)
    • 三田線(春日駅)
    • 大江戸線(新宿駅、森下駅)
    • 浅草線(大門駅)
  3. 羽田空港と成田空港へアクセスしやすい
    • 大門駅で東京モノレールに乗車
    • 上野御徒町駅から京成上野駅まで歩き京成スカイライナーに乗車

弱み

  • 全体的にホームが深く上下移動に時間がかかる
  • 地下鉄の中では新しい路線のため、他の路線との乗り換えが不便な駅がある
  • 改札口が少ないため、改札から駅の出入り口まで必要以上に歩く駅がある
  • 地下鉄で東京メトロ千代田線との乗り換えはない
  • 新宿駅、新宿西口駅は新宿エリアの中心部からは場所が外れている
  • 走行中の音が他の路線よりも大きくヘッドホンの音や会話が聞き取りにくい
  • 車体が他の路線より一回り小さく圧迫感がある